対象業務

石綿使用建築物等の解体等業務の特別教育(安衛則36条37号)|対象作業と科目

運営・編集:安全教育台帳編集部

結論:石綿を含む建築物等の解体等業務は、学科4.5時間の特別教育で足りる

結論から言うと、石綿等が使用されている建築物、工作物又は船舶の解体等の作業に労働者を就かせる場合は、労働安全衛生規則第36条第37号に基づく特別教育が必要です。石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程(平成17年厚生労働省告示第132号)により、学科教育のみ合計4.5時間(実技教育はなし)と定められています。玉掛けやフォークリフトのような技能講習への切り替えはなく、業務の規模にかかわらず特別教育のみで対応します。対象業務への該当性や、石綿作業主任者修了者等に関する受講の要否は、所轄の労働基準監督署や労働安全コンサルタント等の専門家にご確認ください。

なぜ石綿の解体等業務は「学科のみ4.5時間」なのか(根拠条文と時間数)

事業者は、危険又は有害な業務に労働者を就かせる前に、業務ごとに定められた特別の教育を行わなければならないと定められています(労働安全衛生法第59条第3項)。この「特別教育を必要とする業務」は労働安全衛生規則第36条に号ごとに列挙されており、石綿関連の業務は第37号に「石綿障害予防規則第四条第一項に規定する石綿等が使用されている建築物、工作物又は船舶の解体等の作業に係る業務」として定められています。対象となる解体等の作業には、石綿を含む建材の除去だけでなく、封じ込め・囲い込みの作業も含まれます。

特別教育の学科・実技の内訳は、石綿障害予防規則第27条第1項・第2項に基づく石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程(平成17年厚生労働省告示第132号)に定められています。この規程は「学科教育により」行うと明記しており、実技教育の科目は置かれていません。学科の科目は次のとおりです。

科目時間
石綿の有害性0.5時間
石綿等の使用状況1時間
石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置1時間
保護具の使用方法1時間
その他石綿等のばく露の防止に関し必要な事項1時間
合計4.5時間

他の特別教育と並べると、石綿の解体等業務は学科のみで完結する点が特徴的です。

業務(安衛則36条の号)学科実技合計
石綿使用建築物等の解体等(第37号)4.5時間0時間4.5時間
フルハーネス型墜落制止用器具(第41号)4.5時間1.5時間6時間
玉掛け(1t未満・第19号)5時間4時間9時間
アーク溶接等(第3号)11時間10時間21時間

石綿の解体等業務とフルハーネスの特別教育は学科時間こそ同じ4.5時間ですが、フルハーネスには実技1.5時間が加わるため合計時間は異なります。対象人数分の研修時間を見積もる場合、1人あたりの教育時間(学科4.5時間)に人数をかけて算出できます。たとえば解体工事にこれから配置する作業者が4人いる場合、 4.5×4=18 、合計18時間が必要な総研修時間の目安になります。自社の作業者がどの特別教育の対象になるかを確認したい場合は、特別教育 要否チェッカーで従事業務を選ぶだけで必要な教育と時間数を確認できます。

自社で確認・対応する手順

石綿を含む建築物等の解体等業務に労働者を適法に就かせるには、次の順序で確認・対応を進めます。

  1. 対象作業に該当するかを確認する:解体・改修の対象となる建築物、工作物又は船舶に石綿等が使用されているか、事前調査の結果を確認します。石綿等が使用されている(又はそのおそれが否定できない)建築物等の解体・改修に労働者を従事させる場合は特別教育の対象です。
  2. 未受講の作業者を洗い出す:石綿作業主任者を修了している者等を除き、対象業務に就く予定の労働者のうち特別教育を未受講の者を洗い出します。
  3. 特別教育を実施する:学科4.5時間(有害性・使用状況・粉じん発散抑制措置・保護具・その他ばく露防止に関する事項の5科目)を実施します。社内で有資格の講師を確保するか、登録教習機関・労働基準協会等が実施する講習を受講させます。
  4. 記録を作成し3年間保存する:受講者・科目・時間数・実施年月日・指導者などを記録し、労働安全衛生規則第38条に基づき実施日から3年間保存します。元請の安全書類の提出や監督署の立入時には、この記録の提示を求められることがあります。

このうち作業者ごとの受講記録・修了証・保存期間の管理は、担当者の異動やExcel台帳の増加とともに抜け漏れが起きやすい部分です。14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)では、作業者ごとの特別教育の受講記録をまとめてクラウドで管理でき、サインアップからすぐに試すことができます。

注意点・誤解しやすいポイント

石綿の特別教育をめぐっては、次のような勘違いが起きがちです。

技能講習への切り替えがあると誤解する:玉掛けやフォークリフトのように、規模(つり上げ荷重や積載荷重など)によって特別教育から技能講習へ切り替わる業務がありますが、石綿使用建築物等の解体等業務にはそうした区分はありません。対象業務であれば一律に学科4.5時間の特別教育で対応します。

石綿作業主任者の資格と特別教育を混同する:石綿等を取り扱う作業には、特別教育とは別に作業主任者の選任が必要になる場合があります。石綿作業主任者を修了した者は重ねて特別教育を受ける必要はないとされていますが、現場に配置するすべての作業者が作業主任者資格を持つわけではないため、作業主任者の選任と、各作業者への特別教育の実施は別の論点として管理する必要があります。

実技が無いことを油断材料にしない:この特別教育は学科のみ4.5時間ですが、実技が無いのは教育の構成上の話であり、現場での石綿ばく露防止措置(隔離・湿潤化・保護具の使用等)が省略できるという意味ではありません。石綿障害予防規則は別途、作業場所の隔離や呼吸用保護具の使用など詳細な措置を定めています。

保存期間の誤解:特別教育は業務ごとに一度修了すればよく、法定の定期的な再教育(更新)義務はありません。一方で受講記録は労働安全衛生規則第38条により実施日から3年間の保存義務があり、保存期間が過ぎたからといって受講そのものが無効になるわけではない点に注意が必要です。

罰則:対象業務に特別教育を実施しないまま労働者を就かせた場合は、労働安全衛生法第119条により6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となり得ます。記録の作成・保存を怠った場合も同法第120条により50万円以下の罰金の対象となり得ます。石綿ばく露は中皮腫・肺がん等の重篤な健康障害に直結するため、特別教育 要否チェッカーで対象業務を確認したうえで、記録の整備まで進めておくことをおすすめします。

よくある質問

Q. 石綿を扱う解体工事の特別教育は、具体的に何時間受ければよいですか。

2026年時点の規定では、石綿使用建築物等解体等業務特別教育規程(平成17年厚生労働省告示第132号)に基づき、学科教育のみ合計4.5時間です。実技教育の科目は定められていません。

Q. 石綿作業主任者の資格があれば、この特別教育は不要ですか。

石綿作業主任者を修了した者については、重ねて特別教育を受ける必要はないとされています。ただし現場の個別事情によって取り扱いが異なる場合があるため、該当性は所轄の労働基準監督署や労働安全コンサルタント等にご確認ください。

Q. 対象となるのは解体作業だけですか、改修作業も含まれますか。

対象は「石綿等が使用されている建築物、工作物又は船舶の解体等の作業」であり、除去に伴う作業であれば改修に伴う解体部分も含まれ得ます。個別の作業が対象に該当するかどうかの判断は、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q. 石綿の特別教育の記録は、何年保存すればよいですか。

労働安全衛生規則第38条により、受講者・科目・時間数・実施年月日等の記録を作成し、実施日から3年間保存する義務があります。

Q. 特別教育を実施せずに石綿を含む解体作業に従事させると、どうなりますか。

労働安全衛生法第119条により6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象となり得ます。また、記録の作成・保存を怠った場合は同法第120条により50万円以下の罰金の対象となり得ます。

まとめ

  • 石綿等が使用されている建築物等の解体等業務は安衛則36条第37号の特別教育の対象で、技能講習への切り替えはなく学科教育のみ合計4.5時間
  • 学科の科目は有害性(0.5時間)・使用状況(1時間)・粉じん発散抑制措置(1時間)・保護具(1時間)・その他ばく露防止に関する事項(1時間)の5科目
  • 石綿作業主任者を修了した者は重ねて特別教育を受ける必要はないが、現場の作業者全員が主任者資格を持つとは限らない点に注意
  • 記録は安衛則38条により実施日から3年間保存し、未実施・記録不備は安衛法119条・120条の罰則対象になり得る
  • 自社の作業者に必要な特別教育を確認したい場合は、特別教育 要否チェッカーで確認するところから始める

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