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つり上げ荷重5t未満のクレーン運転の特別教育|技能講習との境目

運営・編集:安全教育台帳編集部

結論:クレーン(つり上げ荷重5t未満)は特別教育、5t以上は原則「免許」— 技能講習では代替できない

結論から言うと、天井クレーンや橋形クレーンなど(移動式クレーンを除く)を運転させる場合、つり上げ荷重が5トン未満であれば、労働安全衛生法第59条第3項労働安全衛生規則第36条第15号イに基づく特別教育(学科9時間・実技4時間の合計13時間)を修了させれば運転させることができます。一方、つり上げ荷重が5トン以上になると、原則としてクレーン・デリック運転士免許(労働安全衛生法施行令第20条第6号)が必要になり、多くの現場でイメージされる「技能講習」では代替できません。技能講習で足りるのは、運転席が床上にある「床上操作式クレーン」に限られた例外です。5トンという同じ数字でも、機械の種類(クレーンか移動式クレーンか)や操作方式によって必要な資格区分が変わるため、対象業務の該当性や省略規定の適用など個別の取り扱いは、所轄の労働基準監督署や労働安全コンサルタント等の専門家にご確認ください。

なぜ「5t未満は特別教育・5t以上は免許」なのか(根拠条文と時間数)

事業者は、労働者を危険または有害な業務に就かせるときは、その業務に関する安全のための特別の教育を行わなければならないと定められています(労働安全衛生法第59条第3項)。この委任を受けて労働安全衛生規則第36条第15号イは「つり上げ荷重が五トン未満のクレーン」の運転の業務を特別教育の対象として掲げています。具体的な実施義務はクレーン等安全規則第21条に定められ、科目・時間数はクレーン取扱い業務等特別教育規程(昭和47年労働省告示第118号)第1条で次のとおり定められています。

区分科目時間
学科(計9時間)クレーンに関する知識3時間
学科原動機及び電気に関する知識3時間
学科クレーンの運転のために必要な力学に関する知識2時間
学科関係法令1時間
実技(計4時間)クレーンの運転3時間
実技クレーンの運転のための合図1時間

合計すると学科9時間+実技4時間=13時間です。これは特別教育の中でも比較的時間数の多い部類で、たとえば低圧の電気取扱いは学科7時間+実技7時間の計14時間、高所作業車(作業床の高さ10m未満)の運転は学科6時間+実技3時間の計9時間が必要と定められており、業務によって時間の内訳が大きく異なります。

一方、つり上げ荷重5トン以上のクレーン(跨線テルハを除く)を運転させるには、原則としてクレーン・デリック運転士免許(施行令第20条第6号)が必要です。ここが誤解されやすい点で、フォークリフトや車両系建設機械のように「特別教育→技能講習→免許」という3段階が用意されているわけではなく、クレーンの場合は運転席が床上にある「床上操作式クレーン」に限り、免許の代わりに床上操作式クレーン運転技能講習の修了でも運転できるという例外的な扱いになっています(クレーン等安全規則第22条)。天井走行式など運転室に搭乗するタイプのクレーンでは、この技能講習の選択肢はなく、5トン以上を運転させるには免許取得者を充てる必要があります。自社の作業者にどの業務でどの特別教育が必要か、学科・実技それぞれ何時間かをまとめて確認したい方は、特別教育 要否チェッカーで従事業務を選ぶと、根拠となる号や時間数を確認できます。

自社で確認・対応する手順

クレーンの運転に必要な資格の抜け漏れを防ぐには、次の順番で点検すると整理しやすくなります。

  1. 機械の種類の確認:現場で使用しているのが固定式のクレーン(天井クレーン・橋形クレーンなど)か、車両に搭載された移動式クレーンかを確認します。移動式クレーンは根拠条文も基準となるつり上げ荷重の区切りも異なるため、混同すると必要な教育を誤ります。
  2. つり上げ荷重の確認:クレーンの場合、つり上げ荷重が5トン未満か5トン以上かを機械の仕様(銘板・検査証)で確認します。
  3. 操作方式の確認:5トン以上の場合、運転席が床上にある床上操作式クレーンかどうかで、必要な資格が技能講習で足りるか免許が必要かが変わります。
  4. 該当する教育・講習の実施:5トン未満であれば特別教育(学科9時間・実技4時間)を実施し、5トン以上であれば免許取得者(または床上操作式は技能講習修了者)を充てます。
  5. 記録の作成・3年保存:特別教育を実施した場合は、労働安全衛生規則第38条により、受講者・科目等の記録を作成し3年間保存しなければなりません。日数に換算すると365×3=1,095日にわたって記録を維持できる体制が必要になるため、対象者が多い現場ほど早めに管理方法を検討しておくと安心です。

注意点・誤解しやすいポイント

第一に、「5トン」という数字だけを見て、フォークリフトや車両系建設機械と同じ「技能講習でよい」という感覚で対応してしまう誤解です。クレーンの場合、5トン以上は原則として免許が必要で、技能講習で足りるのは床上操作式クレーンという限られた条件に該当する場合のみです。自社のクレーンがこの例外に当たるかどうかは、機械の構造を踏まえて確認する必要があります。

第二に、クレーンと移動式クレーンの取り違えです。移動式クレーンは1トン未満が特別教育、1トン以上5トン未満が小型移動式クレーン運転技能講習、5トン以上が移動式クレーン運転士免許という3段階の区分になっており、固定式クレーンとは境目の位置も資格の種類も異なります。現場に両方の機械があると、必要な資格を取り違えやすいため注意が必要です。

第三に、3年保存を「教育の有効期限」と誤解するケースです。特別教育には更新のための再教育義務はなく、労働安全衛生規則第38条が定める3年間は、事業者が記録を保存しておくべき期間であって、教育そのものが3年で失効するという意味ではありません。保存期間が過ぎたことをもって「再教育が必要」と考える必要はない一方、記録自体は監督署対応や元請への提出のために残しておく必要があります。実技の省略に関する規定の適用可否なども含め、個別の判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署や労働安全コンサルタント等の専門家にご確認ください。

作業者ごとにどのクレーンにどの区分の資格が必要か、特別教育の実施記録をどう管理するかは、対象者が増えるほどExcelや紙の台帳では追いきれなくなります。安全教育台帳では、作業者ごとの受講記録と労働安全衛生規則第38条が求める3年間の保存期間をクラウドで管理でき、14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で試すことができます(/signup)。まとめに入る前に、特別教育 要否チェッカーで自社のクレーン作業者に必要な資格の抜け漏れがないか、実際に確認してみることをおすすめします。

まとめ

  • つり上げ荷重5トン未満のクレーン(移動式クレーンを除く)の運転には、労働安全衛生法第59条第3項労働安全衛生規則第36条第15号イに基づく特別教育(学科9時間・実技4時間の計13時間)が必要です。
  • 5トン以上は原則としてクレーン・デリック運転士免許が必要で、技能講習で足りるのは床上操作式クレーンという例外的なケースに限られます。
  • 移動式クレーンはクレーンとは異なる区分(1トン未満は特別教育、1トン以上5トン未満は技能講習、5トン以上は免許)になっており、混同しないよう注意が必要です。
  • 特別教育の記録は労働安全衛生規則第38条により3年間保存する必要があり、これは教育の有効期限ではなく保存義務の期間です。
  • まずは自社のクレーンが固定式か移動式か、つり上げ荷重が何トンか、操作方式は何かを確認し、必要な資格区分を整理することから始めるとよいでしょう。

よくある質問

Q. クレーンの運転特別教育は何時間ですか。

クレーン取扱い業務等特別教育規程(昭和47年労働省告示第118号)第1条により、学科教育9時間(クレーンに関する知識3時間・原動機及び電気に関する知識3時間・力学に関する知識2時間・関係法令1時間)と実技教育4時間(クレーンの運転3時間・合図1時間)の合計13時間と定められています。

Q. つり上げ荷重5トン以上のクレーンは技能講習を受ければ運転できますか。

原則として運転できません。5トン以上のクレーン(跨線テルハを除く)は、労働安全衛生法施行令第20条第6号によりクレーン・デリック運転士免許が必要です。技能講習(床上操作式クレーン運転技能講習)で足りるのは、運転席が床上にある床上操作式クレーンに限られる例外的な扱いです。自社のクレーンがこの例外に該当するかは、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q. 移動式クレーンも同じ5トンの基準で特別教育と免許が分かれますか。

いいえ、区分が異なります。移動式クレーンは、つり上げ荷重1トン未満が特別教育、1トン以上5トン未満が小型移動式クレーン運転技能講習、5トン以上が移動式クレーン運転士免許という3段階の区分になっています。固定式のクレーンとは境目の位置も資格の種類も異なるため、現場にある機械がどちらに当たるかをまず確認することが大切です。

Q. 特別教育の記録はどのくらいの期間保存すればよいですか。

労働安全衛生規則第38条により、特別教育を行ったときは受講者・科目等の記録を作成し、3年間保存しなければならないとされています。保存期間は教育の有効期限ではなく、監督署対応や元請への提出等に備えて記録を残しておくべき期間です。

Q. 特別教育を実施しないまま5トン未満のクレーンを運転させていた場合、どうなりますか。

特別教育を実施しないまま労働者をクレーンの運転業務に就かせた場合、労働安全衛生法第119条第1号により、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となり得ます。記録を作成・保存していない場合は同法第120条の対象となる可能性もあります。未実施が判明した場合は、当該業務への就業を一時的に控えさせたうえで速やかに教育を実施し、所轄の労働基準監督署に相談することをおすすめします。

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