対象業務

ボーリングマシンの運転の特別教育(安衛則36条10号の3)|対象作業と科目

運営・編集:安全教育台帳編集部

結論:ボーリングマシンの運転の特別教育は「学科7時間+実技5時間(合計12時間)」

結論から言うと、ボーリングマシンの運転の業務(労働安全衛生規則第36条第10号の3)に労働者を就かせる場合は、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)に基づき、学科7時間+実技5時間の合計12時間の特別教育を修了させなければなりません。地盤調査や基礎工事の経験が長い作業者であっても、この業務に初めて就かせる前に必ず修了させる必要があります。対象業務の該当性や省略規定の適用など個別の取り扱いは、所轄の労働基準監督署や労働安全コンサルタント等の専門家にご確認ください。

なぜ「学科7時間+実技5時間」なのか(根拠条文と科目の内訳)

特別教育とは、危険または有害な業務に労働者を就かせる前に、事業者が業務ごとに定められた学科・実技の教育を修了させなければならないという法定の義務です(労働安全衛生法第59条第3項)。対象となる危険有害業務は労働安全衛生規則第36条に号ごとに列挙されており、ボーリングマシンの運転の業務は第10号の3に「ボーリングマシンの運転の業務」として定められています。

ここでいうボーリングマシンは、地盤調査(サウンディング・サンプリング等)や基礎工事の際に地中へ孔を掘削するための機械を指します。くい打機・くい抜機とともに、安衛則では同じ節(くい打機、くい抜機及びボーリングマシンの節)で構造・倒壊防止等の規制対象として扱われていますが、特別教育の義務そのものは「運転の業務」に対して第10号の3として個別に定められています。

ボーリングマシンの運転の特別教育の学科・実技の時間数は、厚生労働省(都道府県労働局)が公表している「安衛法に定める特別教育の時間」の一覧表でも、第10号の3の業務として学科7時間・実技5時間と示されています(三重労働局の資料(別表5))。学科・実技のいずれも省略せず、定められた時間数を満たしてはじめて修了となります。

他の建設機械系の特別教育と比べると、ボーリングマシンの位置づけがわかりやすくなります。

業務(安衛則36条の号)学科実技合計
ボーリングマシンの運転(第10号の3)7時間5時間12時間
車両系建設機械(コンクリート打設用)作業装置の操作(第10号の2)7時間5時間12時間
ローラーの運転(第10号)6時間4時間10時間
ジャッキ式つり上げ機械の調整・運転(第10号の4)6時間4時間10時間
電気取扱い・低圧(第4号)7時間7時間14時間
玉掛け(つり上げ荷重1t未満・第19号)5時間4時間9時間

こうして並べると、ボーリングマシンの運転の合計12時間は、同じ建設機械系であるローラーの運転やジャッキ式つり上げ機械の調整・運転(いずれも10時間)よりやや長く、電気取扱い(低圧・14時間)よりは短い水準であることがわかります。掘削機構を持つ機械の操作には、地盤の状況変化やロッドの取扱いなど固有の危険が伴うため、学科・実技ともに一定の時間数が求められていると考えられます。

教育時間は1人あたりの時間数であるため、対象人数が増えるほど総研修時間も大きくなります。例えば、これから基礎工事・地盤調査の現場でボーリングマシンの運転業務に配置する作業者が3人いる場合、1人あたりの教育時間(学科7時間+実技5時間=12時間)は、3人分では 12×3=36 で合計36時間にのぼります。社内で講師を確保して実施するか、登録教習機関や機械メーカー系の教育機関にまとめて委託するかを検討するうえでの目安になります。自社の作業者がどの特別教育の対象になるかを確認したい場合は、特別教育 要否チェッカーで従事業務を選ぶだけで必要な教育と時間数を確認できます。

自社で確認・対応する手順

ボーリングマシンの運転の特別教育を漏れなく実施するには、次の順序で確認・対応を進めます。

  1. 対象業務への該当性を確認する:地盤調査(サウンディング・サンプリング)や基礎工事のための孔の掘削にボーリングマシンを運転させているかを洗い出します。くい打機・くい抜機のみを扱う業務や、別の建設機械(車両系建設機械等)の運転は、それぞれ異なる号・異なる時間数の特別教育の対象になるため、機械の種類と作業内容を正確に区別します。
  2. 未修了の作業者を洗い出す:現場経験が長くても、この特別教育を修了していなければ業務に就かせることはできません。配置転換や応援で一時的にボーリングマシンを運転させる場合も含めて確認します。
  3. 登録教習機関等での受講、または社内での実施を手配する:学科7時間・実技5時間の科目・時間を満たすカリキュラムであることを確認します。十分な知識・技能を有していると認められる労働者については、労働安全衛生規則第37条に基づき科目の全部または一部を省略できる場合がありますが、該当するかどうかの判断は自己判断に頼らないことが重要です。
  4. 記録を作成し3年間保存する:受講者・科目・時間数・実施年月日・指導者などを記録し、労働安全衛生規則第38条に基づき実施日から3年間保存します。元請の安全書類や監督署の立入時に提示を求められることがあります。

このうち作業者ごとの受講記録と3年保存の管理は、担当者が交代したりExcel台帳が増えたりするうちに抜け漏れが起きやすい部分です。14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)では、作業者ごとの受講記録・修了証・保存期間をクラウドで一元管理でき、サインアップからすぐに試すことができます。

注意点・誤解しやすいポイント

ボーリングマシンの運転の特別教育では、次のような勘違いが起きがちです。

技能講習・運転免許との取り違え:ボーリングマシンの運転の業務そのものは特別教育(安衛則36条第10号の3)の対象であり、車両系建設機械(機体重量3t以上等)のように技能講習や免許の対象となる就業制限業務ではありません。一方で、現場で使用する機械の種類によっては車両系建設機械の運転技能講習等が別途必要になる場合もあるため、機械の種類・規模を混同しないことが重要です。

省略規定の誤適用:労働安全衛生規則第37条により、科目の全部または一部について十分な知識・技能を有すると認められる労働者については特別教育を省略できますが、これは事業者が個別に判断・証明すべき例外規定です。「経験があるから省略してよい」と自己判断で済ませるのではなく、該当性については所轄の労働基準監督署や労働安全コンサルタント等の専門家にご確認ください。

保存期間の誤解:特別教育は業務ごとに一度修了すればよく、法定の定期的な再教育(更新)義務はありません。一方で記録は労働安全衛生規則第38条により実施日から3年間の保存義務があり、この2つを混同しないことが重要です。保存期間が過ぎたからといって再教育が必要になるわけではありません。

罰則:特別教育を実施しないまま労働者を就業させた場合は労働安全衛生法第119条により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となり得ます。記録の作成・保存を怠った場合は、同法第103条第1項の書類保存義務違反として同法第120条により50万円以下の罰金の対象となり得ます。地中への掘削を伴う作業は、機械の挙動や地盤の変化による事故のリスクを伴うため、特別教育 要否チェッカーで対象業務・時間数を確認したうえで、記録の整備まで進めておくことをおすすめします。

よくある質問

Q. ボーリングマシンの運転の特別教育は、具体的に何時間受ければよいですか。

2026年時点の規定では、安全衛生特別教育規程に基づき学科7時間+実技5時間の合計12時間です(三重労働局の資料(別表5))。学科・実技のいずれも省略せず、定められた時間数を満たす必要があります。

Q. くい打機・くい抜機の操作にも同じ特別教育が必要ですか。

ボーリングマシンの運転の特別教育(安衛則36条第10号の3)は、ボーリングマシンの運転の業務を対象とするものです。くい打機・くい抜機は安衛則上は同じ節で構造・倒壊防止等の規制対象として扱われていますが、使用する機械の種類や作業内容によって適用される規定が異なる場合があるため、現場で使用する機械ごとに該当する教育・資格を確認することが重要です。個別の判断は所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q. すでに現場経験が長い作業者にも、この特別教育は必要ですか。

現場経験の長さにかかわらず、ボーリングマシンの運転の業務に労働者を新たに就かせる場合は、原則として特別教育の修了が必要です。労働安全衛生規則第37条により科目の一部が省略できる場合がありますが、該当するかどうかは個別の事情によるため、自己判断で省略せず専門家に確認してください。

Q. 特別教育の記録は、何年保存すればよいですか。

労働安全衛生規則第38条により、受講者・科目・時間数・実施年月日等の記録を作成し、実施日から3年間保存する義務があります。作業者の入社日や退職日は起算点になりません。

Q. 特別教育を実施せずに作業させると、どうなりますか。

労働安全衛生法第119条により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となり得ます。また記録の作成・保存を怠った場合は、同法第103条第1項の書類保存義務違反として同法第120条により50万円以下の罰金の対象となり得ます。

まとめ

  • ボーリングマシンの運転の業務(安衛則36条第10号の3)の特別教育は学科7時間+実技5時間=合計12時間
  • くい打機・くい抜機など同じ節で扱われる機械でも、適用される規定は機械の種類・作業内容によって異なるため混同しない
  • 現場経験の長さでは代替できず、業務に就かせる前に必ず特別教育を修了させる必要がある(省略規定の適用は専門家に確認する)
  • 記録は安衛則38条により実施日から3年間保存し、未実施は安衛法119条、記録不備は安衛法120条の罰則対象になり得る
  • 自社の作業者に必要な特別教育や時間数を確認したい場合は、特別教育 要否チェッカーで確認するところから始める

この記事の内容をツールで確かめる

要否チェッカーで必要な特別教育を確認する →

特別教育は一度きり。手間になるのは、そのあと3年の保存です

安全教育台帳は、実施した特別教育を作業者ごとに記録して受講履歴として積み上げ、 安衛則38条の3年保存が満了に近づく記録を先に知らせます。記録簿・修了証・有資格者名簿の 出力まで、作業者の入退社をまたいで1つの台帳にまとまります。

無料ではじめる(登録のみ)

参考にした一次情報

関連記事