学科・実技の時間

低圧電気取扱いの特別教育|学科7時間+実技7時間と対象作業

運営・編集:安全教育台帳編集部

結論:低圧電気取扱いの特別教育は「学科7時間+実技7時間(合計14時間)」

結論から言うと、低圧の充電電路の敷設・修理や、配電盤室・変電室等の区画された場所に設置する低圧の電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務(労働安全衛生規則第36条第4号)に労働者を就かせる場合は、安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)第6条に基づき、学科7時間+実技7時間の合計14時間の特別教育を修了させなければなりません。ただし開閉器の操作のみを行う者については、実技教育は1時間以上で足りるとされています。対象業務の該当性や実技の省略規定の適用など個別の判断は、所轄の労働基準監督署や労働安全コンサルタント等の専門家にご確認ください。

なぜ「学科7時間+実技7時間」なのか(根拠条文と科目の内訳)

特別教育とは、危険または有害な業務に労働者を就かせる前に、事業者が業務ごとに定められた学科・実技の教育を修了させなければならないという法定の義務です(労働安全衛生法第59条第3項)。対象業務は労働安全衛生規則第36条に約49の号として列挙されており、電気取扱業務は第4号に当たります。第4号は「高圧・特別高圧の充電電路等の敷設・点検・修理・操作の業務」と「低圧の充電電路の敷設・修理の業務、または区画された場所に設置する低圧の電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務」の両方を含み、電圧区分によって求められる教育時間が異なります。

低圧電気取扱いの学科・実技の時間は、安全衛生特別教育規程第6条で次のとおり定められています。学科教育は合計7時間で、内訳はおおむね「低圧の電気に関する基礎知識」「低圧の電気設備に関する基礎知識」「低圧用の安全作業用具に関する基礎知識」「低圧の活線作業及び活線近接作業の方法」「関係法令」の5科目で構成されます。実技教育は低圧の活線作業・活線近接作業の方法について7時間以上行うものとされていますが、開閉器の操作の業務のみを行う者については1時間以上でよいとされています。

他の業務と比べると、低圧電気取扱いの時間数がどの位置づけかがわかりやすくなります。

業務(安衛則36条の号)学科実技合計
アーク溶接等(第3号)11時間10時間21時間
電気取扱い・高圧/特別高圧(第4号)11時間15時間26時間
電気取扱い・低圧(第4号)7時間7時間(開閉器操作のみは1時間)14時間(同8時間)
フルハーネス型墜落制止用器具(第41号)4.5時間1.5時間6時間
玉掛け(つり上げ荷重1t未満・第16号)5時間4時間9時間
高所作業車(作業床の高さ10m未満・第10号の5)6時間3時間9時間

こうして並べると、低圧電気取扱いは高圧・特別高圧の電気取扱い(合計26時間)より短いものの、フルハーネス型(6時間)や玉掛け(9時間)よりは長い、中程度のボリュームであることがわかります。感電災害は死亡・重篤化しやすい労働災害であるため、対象業務であるかどうかを見極め、必要な時間数を満たす教育を確実に実施することが欠かせません。

教育時間は1人あたりの時間数であるため、対象人数が増えるほど総研修時間も大きくなります。例えば対象の作業者が10人在籍する場合、1人あたりの教育時間(学科7時間+実技7時間=14時間)は、10人分では 14×10=140 で合計140時間にのぼります。登録教習機関へまとめて委託するか、社内で計画的に実施するかを検討するうえでの目安になります。自社の作業者がどの特別教育の対象になるかを確認したい場合は、特別教育 要否チェッカーで従事業務を選ぶだけで必要な教育と時間数を確認できます。

自社で確認・対応する手順

低圧電気取扱いの特別教育を漏れなく実施するには、次の順序で確認・対応を進めます。

  1. 対象業務への該当性を確認する:配線工事、分電盤・動力盤の点検や修理、開閉器の操作など、低圧の充電電路に触れる作業に労働者を就かせているかを洗い出します。
  2. 開閉器操作のみかどうかを区分する:低圧の充電電路の敷設・修理まで行うのか、区画された場所での開閉器の操作のみを行うのかによって、実技教育の必要時間(7時間または1時間)が変わります。
  3. 登録教習機関等での受講、または社内での実施を手配する:学科・実技それぞれの科目・時間を満たすカリキュラムであることを確認します。
  4. 記録を作成し3年間保存する:受講者・科目・時間数・実施年月日・指導者などを記録し、労働安全衛生規則第38条に基づき実施日から3年間保存します。

このうち作業者ごとの受講記録と3年保存の管理は、担当者が交代したりExcel台帳が増えたりするうちに抜け漏れが起きやすい部分です。14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)では、作業者ごとの受講記録・修了証・保存期間をクラウドで一元管理でき、サインアップからすぐに試すことができます。

注意点・誤解しやすいポイント

低圧電気取扱いの特別教育では、次のような勘違いが起きがちです。

技能講習と特別教育の取り違え:低圧電気取扱いは特別教育の対象であり、技能講習や免許は不要です。一方で高圧・特別高圧の電気取扱いも同じ第4号の特別教育の対象ですが、時間数は学科11時間+実技15時間と大きく異なります。電圧区分を誤って低圧の時間数で済ませてしまうと、法定の教育時間を満たさないことになります。

実技7時間と1時間の区分の誤適用:実技教育が1時間で済むのは、あくまで区画された場所に設置する低圧の電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務のみを行う者に限られます。充電電路の敷設や修理まで行う作業者に誤って1時間の実技教育しか実施しないと、教育不足となるおそれがあります。

保存期間の誤解:特別教育は業務ごとに一度修了すればよく、法定の定期的な再教育(更新)義務はありません。一方で記録は労働安全衛生規則第38条により実施日から3年間の保存義務があり、この2つを混同しないことが重要です。

罰則:特別教育を実施しないまま労働者を就業させた場合は労働安全衛生法第119条により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となり得ます。記録の作成・保存を怠った場合も同法第120条により50万円以下の罰金の対象となり得ます。感電による労働災害が発生した場合、教育を実施していた証拠を示せるかどうかは企業の責任の所在にも直結するため、特別教育 要否チェッカーで対象業務・時間数を確認したうえで、記録の整備まで進めておくことをおすすめします。

よくある質問

Q. 低圧電気取扱いの特別教育は、具体的に何時間受ければよいですか。

2026年時点の規定では、安全衛生特別教育規程第6条に基づき学科7時間+実技7時間の合計14時間です。ただし区画された場所での開閉器の操作のみを行う者については、実技教育は1時間以上でよいとされています。学科は低圧の電気・電気設備・安全作業用具に関する基礎知識、活線作業及び活線近接作業の方法、関係法令の5科目で構成されます。

Q. 高圧の電気取扱いも同じ特別教育で足りますか。

いいえ。高圧・特別高圧の充電電路等の敷設・点検・修理・操作の業務は労働安全衛生規則第36条第4号の別区分にあたり、学科11時間+実技15時間の合計26時間と、低圧電気取扱いより時間数が大きく異なります。低圧・高圧のどちらの業務に就かせるかを正確に区分したうえで、それぞれに応じた特別教育を実施する必要があります。

Q. すでに電気工事士の資格を持っている作業者にも、この特別教育は必要ですか。

電気工事士の資格の有無にかかわらず、低圧の充電電路の敷設・修理や開閉器の操作の業務に労働者を就かせる場合は、原則として特別教育の修了が必要です。実技教育の一部省略が認められる場合があるかどうかは個別の事情によるため、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q. 特別教育の記録は、何年保存すればよいですか。

労働安全衛生規則第38条により、受講者・科目・時間数・実施年月日等の記録を作成し、実施日から3年間保存する義務があります。作業者の入社日や退職日は起算点になりません。

Q. 特別教育を実施せずに作業させると、どうなりますか。

労働安全衛生法第119条により6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となり得ます。また記録の作成・保存を怠った場合は同法第120条により50万円以下の罰金の対象となり得ます。

まとめ

  • 低圧電気取扱い(安衛則36条第4号)の特別教育は学科7時間+実技7時間=合計14時間(開閉器操作のみの者は実技1時間でよい)
  • 同じ第4号でも高圧・特別高圧の電気取扱いは学科11時間+実技15時間=合計26時間と時間数が大きく異なるため、電圧区分の見極めが重要
  • 特別教育は業務ごとに一度修了すればよいが、記録は安衛則38条により実施日から3年間保存が必要
  • 未実施・記録不備はそれぞれ安衛法119条・120条の罰則対象になり得る
  • 自社の作業者に必要な特別教育や時間数を確認したい場合は、特別教育 要否チェッカーで確認するところから始める

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参考にした一次情報

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